2021/05/28

卒業生からの手紙①

  私が「ASU」に来たのは、親からも逃げたかったからです。家にも居場所はありませんでした。その頃は屋根裏部屋に布団や好きな本を持ち込んでこもっていましたが、家にいてもむなしくなるだけでした。でも本当は「ASU」にも行きたくありませんでした。不登校の子ばかり通っている学校なんて、暗くて絶対おもしろいわけがないという先入観があったからです。

 でも「ASU」で出会った友だちは、気を遣わなくていい人たちでした。それまでの私は友だちの顔色ばかり見て合わせることに必死でした。にもかかわらず、友だちと呼べる子はいなかったかもしれません。グループからはじき出されないようにふるまっていただけです。「ASU」にはいろいろなタイプの子がいました。違う年齢の子とも仲良くなれました。それまで特定の子としか話をしなかった私が、誰にでも自分から話しかけていました。こんな私でもいいのだと思えました。

 不登校をしていなかったら、自分を見つめることもなく、仮面をかぶって、成長もしないままつまらない大人になっていたと思います。学校に行っていた自分とは違う「強さ」を手に入れたと思っています。私には必要な道でした。

      ※現在は看護師として働いていらっしゃいます。


昼夜逆転

Q1. 昼夜逆転はどうやってなおせばいいですか?


 A.  注意しなければならないのは、対処療法だけで昼夜逆転を
   修正しようとしても、根本的な解決にはならないことです。
   まずは、なぜお子さんが昼夜逆転の生活になってしまった
   のかを考える必要があります。



  今まで私たちがお会いしたお子さんの中で、昼夜逆転している時は、何らかの悩みやストレスを 抱えているケースが多いように感じています。

  それを聞き出そうとしても、うまく言葉にできずに黙りこんでしまうお子さんが多いのも事実です。急かしたり、決めつけたりせず、何かできることがあれば言ってね、という姿勢で、本人から話してくれるのを待つのがよいように思います。 

  また、昼夜逆転が「現実逃避」となっている場合もあります。朝、起きていると親御さんからの「学校に行ってくれるのではないかな」という期待を感じたり、行けない自分を否定して辛くなったりしてしまうのです。それなら寝ている(寝ているふりをする)方が辛くないのです。

 多くの不登校のお子さんと接してきた経験からいうと、親御さんの努力と工夫で昼夜逆転が改善できたというケースは残念ながらほとんどありません。昼夜逆転に限らず、親がこうなってほしいと思う通りに動いてくれることは、思春期以降はほとんどないと言っても過言ではありません。また、それが「自立」への正しい成長だとも言えるのではないかと考えています。

 お子さん自身の気持ちに変化が生まれれば、何かが変わってくると思います。「ASU」でも 1日で昼夜逆転を克服したお子さんを何人も見てきました。また、徹夜して登校し、夕方から眠って、真夜中に起き、また徹夜して登校する、というリズムで毎日来る子もいました。大切なのは、強制されたからではなく、自分で考えて動くことではないでしょうか。

そのために必要なのは、お子さんの中にエネルギーが貯まることです。ガソリンが空っぽの車のアクセルをいくら踏んでも走れないのと同じように、お子さんの中にガソリンがいっぱい貯まれば、きっとエンジンをかけることと思います。

 ただ、起立性調節障害や低血圧という身体の原因が潜んでいる場合もありますので、念のため、病院での診察を受けてみられることもお勧めします。